七光台の住宅は、最近開発されたニュータウンと昔ながらの雑木林や畑が広がる中に家屋が点在する田園地域の境界に位置する。ニュータウンに箱形の家が建ち並ぶのに対して、田園地域では下階を広く確保し、小さな二階を載せた下屋形式の家屋が多く見られる。本計画では、この新旧の風景を繋ぐ形として下屋形式を採用した。通常の下屋形式では、1階と2階屋根の棟方向が同じだが、建て主が1階で店舗を開くため、1階は線路方向に妻面を向け、2階はニュータウンの住宅の建ち方にあわせて南北方向を棟方向とした。1階の大きな屋根の下には縁側と土間を南北に配置し、米松集成材の登り梁を室内から屋外まで連続させ、2階の床梁とホームコネクターで接合させることで先端に柱の無い奥行き寸法2.275mの半外部空間を実現した。この屋根付きの奥が深い半外部空間は、夏の強い日射を遮るだけでなく、外部とプライベートな内部のバッファーゾーンとなっている。
建築概要
所在地:千葉県野田市
用途:住宅+ネイルサロン
構造/規模:木造/地上2階
敷地面積:176.42㎡
建築面積:59.56㎡
延床面積:69.84㎡
竣工年月:2014.09
構造設計:吉田一成
施行:東山工務店
写真:鈴木研一
掲載:ディテール2019年10月号 新建築住宅特集2015年5月号 建築知識2015年11月号