アンブレ×暮らしトーク

「それで、あれから、いかがですか?」

住まいは、建った瞬間が完成ではない。
そこで暮らしがはじまり、長い年月が建った後、
はじめて完成するものだと思います。
アンブレ・アーキテクツといっしょに
住まいづくりをしてくださった施主様のもとに、
住まいの完成後、「あれから」についてをお聞きするため、
お伺いしました。

外観

陽の光と、のびやかさを、まとう空間。

お施主様とアンブレスタッフ

もともとノリさん(ご主人)は、宙さんのお友達で、 アンブレ・アーキテクツのことは知っていらっしゃったんですよね?

はい。遡れば随分と昔の話になりますが、一緒にサーフィンをやる仲間です。宙さんの建てた家も見たことがあって、素晴らしい設計をすることは知っていました。ただ、私たちが家を検討した際、最初からアンブレ・アーキテクツに依頼しよう!とは考えていませんでした。

たしかに、最初にご連絡をいただいてシノブさん(奥さま)と一緒に事務所に来られた時は、住宅メーカーの話が進んでいた状態でしたね。

将来的に主人のお母さんの介護なども考えて、近くに引っ越そうと考えていて、いちばん最初は中古物件の購入も検討してましたね。そんな時、主人がたまたまこの土地を見つけて、どんなプランができるのか、土地を紹介してくれた住宅メーカーに話を聞きに行ったんです。

宙さんに頼みたいという想いもありましたが、何となく「高いんじゃないか?、予算が足りないのでは?」という不安があった。私は自動車メーカーで設計をやってることもあり、量産しない一点モノが高いことはわかります。宙さんがつくる住まいは、世界で一つですからね。だから、住宅展示場で住宅メーカーの話を聞いてまわっていました。

「設計事務所は敷居が高い」というイメージがあるのかもしれませんね。実際、住宅メーカーさんでかなり具体的なところまで進めていらっしゃいましたね。

ある住宅メーカーと話を進めていて、最初はあまり疑問を持たなかったのですが、とにかく、しっかりと話をしていないのですが、どんどん設計が進んでいく。プランも悪くもないですが、良いとも思わない…。悩みはじめた時、宙さんに、相談してみようと思いました。そしたら、金額的にも十分できることが分かって、じゃあ一度、話を聞いてみようと。

リビング

進んでいたプランをやめて、アンブレ・アーキテクツに
決めた要因はどこにありましたか?

いくつもありますが、まず、安心感でしょうか。アンブレ・アーキテクツはとにかく話を聞いてくれる。1回、2回とMTGを行う中で、現在、どんなライフスタイルを大切にしているか?、住まいをどう使いたいか?を細かく聞いてくれるんです。

例えばお手洗い一つとっても、夜中にお手洗いに何回行くか、お手洗いでは本を読むか?とかまで、聞かれましたね。人を招きたいかとか、将来、お母さんと一緒に暮らせるようにとか、憧れも、現実的な話もたくさんお話できました。

住まいは、家それ自体ではなく、住むことですからね。ライフスタイルは細かにお聞きしていますね。

私がオーダーしたのは、趣味のサーフィンが楽しめる家。休日はウッドデッキでサーフボードのメンテナンスを楽しみたいと伝えました。妻は、自宅を使ってネイルサロンを開きたいという希望を伝えました。雑誌で見つけた、湖畔に佇むウッドデッキのある家の写真も打ち合わせの時に持っていき、イメージを伝えました。

住宅メーカーさんのプランも見せてもらいました。そのプランは、よくある4LDKのプランでしたが、部屋がたくさん分かれていて、少し窮屈で使いづらそうな印象を受けた。ご夫婦のお話を伺う中で、また、購入を検討しているというこの土地にも足を運ぶ中で、まったく違うプランが見えてきました。

提案されたプランを見て、驚きました。開放感のあるウッドデッキとリビング、T字型の斬新な家…。図面だけでなく、模型をもとにプレゼンをしてもらったのですが、すぐに気に入りました。

まずコンセプトにあったのは、気持ちのいい、のびやかな住まいです。サーファーであるノリさんですから、海に出ない日でも、毎日、朝日が昇るのを感じてもらいたい。太陽光が燦々と差し込み、くつろげる空間をつくりたかった。また、この土地は、南を公園に面した北東の角地にあたり、東にはすぐ近くに電車が走っていました。電車の音を遮断するために東側は家を閉じ、南北は開放する。こうしてT字型の外観ができていきました。

ネイルサロンを開かれるとのことでしたので、周囲に対して閉ざされた空間をつくるのではなく、街との連続性を特に大切にしました。周囲にも塀を設けず、東側は基礎から一体となったコンクリートのベンチを置き、ご近所の皆さまとの団らんの場になるようにしました。

模型を見て、ものすごくテンションが上がりました(笑)。

この家の場合は、珍しいパターンで、最初のプレゼンでほぼ骨格が決まりました。 普通は、施主様の人を知りながら、プランをつくり、プランを出しながら、人を知っていく…。だから、何度もプランをし直しながら進めていくんですが、ノリさんの場合は、もともと人を知っていたから、その分、早かったのだと思います。

ネイルサロン

ご夫婦が特に気に入っているポイントはどこでしょう?

この家で特に素晴らしいと思うのは、ウッドデッキまで軒(のき)が張り出していること。家の中心からウッドデッキまで連続したデザインになっているので、実際よりもリビングがずっと広く感じます。

ここまで大きな軒をつくると、本当はもっと柱が必要で圧迫感が出てくる。でも、大きな軒の上に2階部分を乗せることで、ヤジロベエみたいに上から押さえつけることで、成立している。構造計算の専門家と協議しながら、この仕組みを実現しました。

私は、ネイルサロンですね。一般的にネイルサロンは、白い空間イメージなのですが、木を基調とした空間になっています。最初、ご提案を受けた時はビックリしましたけど、お客様にも非常にご好評をいただきますね。

私たちも、サロンは白いイメージがあったのですが、全体的に納屋をイメージさせるようなデザインなので、木を使うご提案をしたのです。そしたら、シノブさんが「それもいいね!」と。とても柔軟で、私たちも「先入観を持たない方がいい」と勉強になりました。

あ、他にも気に入っているところはたくさんありますよ(笑)。南側と北側の軒先に掛けられているカーテンは、実は農業用のメッシュなのですが、これがとてもイイ感じです。

気に入ってもらえてよかったです。低コストで、ちょうど良い遮光性のものを探しているうちに、農業用メッシュを見つけたんです。外に出しているものなので、どうしても時間が経つと汚れますが、これなら、定期的に張り替えてもいい。初めての試みですがデザイン的にも、機能的にも、これがベストだと思いました。

農業用メッシュもそうですが、設計段階が終わって施工に入っても、アンブレ・アーキテクツは常にベストを探してくれる。それがよく伝わりました。地鎮祭の日に、隣の家の天井の高さを見て、家の天井を50cm高くしたのはビックリしましたが(笑)。

自分たちの住まいが、町全体の中でどう見えるかは大切ですね。今回は、工務店さんの柔軟な対応のおかげで、現場での変更ができ、大変助かりました。設計したものが、最終的に、どのようなカタチとして着地するか。施工側とのコミュニケーションが大切になります。特に今回は骨組み、梁(はり)を出すデザインですから、普段見えないところまで見えますし。仕上げの細かさ、塗料一つまで、工務店さんと現場で話し合いながら進めました。

お施主様

暮らしはじめてみて、いかがですか?

出不精になりました(笑)。それまでは外食も多かったのですが、家が気持ちいいので、すぐに「帰ろうよ」となる(笑)。

落ち着くんですよね。ふだん、暮していてもそうですし。遊びに来てくださったお客さんたちも、何だかのんびりされてます(笑)。

休みの日は、ウッドデッキでサーフボードのメンテナンスをしたり、本を読んだり、まさに思い描いた通りの時間を過ごせています。

もうすぐ子どもも生まれるので、そしたら、ウッドデッキでご飯を食べたいね。

家族が増えて、暮らし方が変わっても、この家は拡張性がありますからね。壁はラワン材でできていて、自分たちでクギも打てるし、暮しの中で手を加えていける。

ウッドデッキ側の柵や物干し竿のフックもご自身で設置されていて、とても良い感じで、住まいを育てられている。嬉しいですね。

住まいのリフォームや、何かお悩み事があったら何でも相談していただけたらと思いますね。設計した住まいは、自分の子どものようなものですから。

天井