敷地周辺には、都心では比較的広い庭を持つ戸建て住宅と木造賃貸アパートが混在している。周辺に建つ木造2階建てアパートは、いわゆる片廊下型のワンルームタイプで決して良い住環境とはいえないものが多い。本計画では、ワンルームアパートの画一的なプランや空間構成を見直すため、その面積を2層に分けて重ね、1住戸を2階建ての「小さな家」としてずらしながら配置することで、一戸建てに住むような専有感や、多方向に開口がある明るく風通しの良い住環境を実現し、上下階の音問題を解決した。敷地内に設けた通り抜けのできる路地は、住人以外も自由に通ることができ、住人はそこでガーデニングをしたり、趣味の自転車のメンテナンスをしたり、天気の良い日にお茶を飲んだりと自由に使うことができる。それぞれの生活が少し路地にはみだすことで、住人同士のコミュニケーションが自然に生まれることを期待している。
建築概要
所在地:東京都杉並区
用途:長屋
構造/規模:木造/地上2階
敷地面積:169.75m²
建築面積:86.88m²
延床面積:166.08m²
竣工年月:2012.03
構造設計:吉田一成構造設計室
施行:西洋ハウジング
写真:川辺明伸
受賞:2012年グッドデザイン賞