



敷地は、築年数の古い木造2階建てが多く残っている中に店舗やマンションが混在している地域にある。70代の施主ご夫婦は築50年の木造家屋にお住まいで、古くなった設備の刷新、冬の寒さ対策、押入収納のみの収納量不足の解消、日当たりのよい園芸スペースなどを必要とされており、お子さんに引き継ぐことをふまえた新築の計画を進めることになった。ただ、これまでの暮らしを大きく変えないことを希望されていたため、断面計画の工夫で問題の解決を試みた。まず、住宅密集地域のために暗くなりがちな1階は部分的に天井高さを高くし、高窓を設けて採光を確保した。園芸スペースの確保は、1階の天井高さの違いによってできた段々状の屋根をルーフテラスにして1階庭から2階までテラスをつなぎながら使えるようにした。収納は部屋ごとの高さ違いを使い、ロフトや屋根裏スペースを多く設けている。平面的な暮らし方は変えずに、断面に変化を加えることで、今までの生活にプラスαの快適さと豊かさをもたらしたのではないかと思う。
建築概要
所在地:東京都板橋区
用途:住宅
構造/規模:木造/地上2階
敷地面積:123.38m²
建築面積:92.32m²
延床面積:138.11m²
竣工年月:2011.12
構造設計:吉田一成構造設計室
施行:島ケン工務店
写真:川辺明伸