羽沢の住宅

羽沢の住宅はお暮らし後の写真をUPしています。こちらをご覧下さい。また、住まいの設計によるお施主様のインタビュー動画はこちらご覧下さい。

練馬区の家族4人のための専用住宅である。敷地周辺は邸宅が残る閑静な住宅地であるが代替わりで大きな土地が分割されて新しい住宅が建ち始めている。周辺事情と同様に本敷地は2分割された土地の北側で東西方向に奥が深い形状であり、将来は南側隣地に接近して住宅が建つことが予想された。施主は30代のご夫婦でお子さん2人。暮らしのご希望の大きな特徴は、エントランス空間はただの玄関でなく家族会議をしたり、お子さんやお友達に勉強を教えたりする空間=セミナースペースとすること、ご主人が時間に関係なく仕事ができる専用スペースを設けることであった。この様なご要望に答える為に、1階は道路側の東から敷地の奥側である西へ向かってパブリックからプライベート性の高い空間へと変化する平面構成を採用した。また、約20mある細長い敷地形状においては、南側隣地に住宅が建った際にも豊かな採光や通風などの住環境が変わらないように敷地の中央に中庭を設け、2階部分は分棟形式として南北方向の壁を1階よりセットバックさせている。

断面・構造形式は1階がRC造、2階が木造の混構造としている。それは、シェルターの様に家族を守ってくれる安心感のある住まいの実現とコストバランスを検討した結果である。仲の良いご家族であることから、どこにいても家族の気配を感じられように平面的に東→西へと連続的に空間がつながる構成を1階→2階の断面方向にも採用した。東棟と西棟にそれぞれ吹抜けを設け、さらにRCの天井スラブ面を必要最小限とすることで2階の床を構成する木造の梁がRC梁の上部に現れ、空間的にも構造的にも断面方向に連続する住まいとすることができた。

お引越し後、道路側の東棟にお子様のお友達が遊びに来たり、エントランス空間で家族会議をしたりと開かれた性格の東棟は大活躍。2階部分は、道路側の東棟をご主人さまのワークスペース兼寝室とし、落ち着いた環境の西棟を奥様と小さいお子様のスペースとしている。リモートワーク時にご夫婦が中庭でお昼を食べたり、東棟でリモートワーク中のお父さんに中庭を介した西棟からお子さんが声がけしたりと家族間で適度な距離感を楽しんでいるとのこと。

都心部に見られる間口が狭く奥行きが長い敷地では、パブリックからプライベートへと移り変わる空間は暮らしとマッチしやすく、施主の思い描く生活とぴったりであった。また、2階部分を中庭を挟んだ分棟にすることで家族間の距離感や音問題を解決でき、コロナ時代の様々な生活様式に柔軟に対応できる住宅となったのではないかと考えている。

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南側隣地からの外観。現在はすでに隣地住宅の建設が始まっている。1階はRC造、2階は分棟形式の木造。

 

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エントランス空間は土間仕上げ。2階へとつながる吹抜け空間で上部の開口から朝日が入る。正面の下駄箱家具にはお施主様が選ばれたガラス製のホワイトボードが設置され、家族会議(登山の計画を立てたり、勉強を教えりetc.)に大活躍。

 

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リビングからエントランスを見る。ベンチタイプの本棚には絵本が入る予定。近所のお子さんを集めて絵本の読み聞かせをしたり、様々な使い方のできるリビング空間。

 

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リビング空間の上部はご主人さまのワークスペース。RCの専用階段を設置。

 

20210426_78A2519-Editリビングから中庭を介して西側を見る。中庭にはコンクリート庇とベンチが設けられている。ダイニングスペースへは中庭北側にあるギャラリースペースを通ってアクセス。ギャラリースペースには白い壁が設けられ、お子様の絵を飾る予定。

 

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西側のダイニング・キッチンスペース。上部には吹抜があり、2階の子ども部屋とつながる。

 

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キッチン横には奥様専用のワークスペース。中庭を介してリビングスペースは見える。

 

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敷地の西側奥には浴室空間を配置。

 

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東棟2階のワークスペース。中庭を介して東棟が見える。

 

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西棟子供部屋から東棟方向をみる。子供部屋の中庭側には子ども専用の勉強スペースを設置。

 

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中庭スペース。現在地面にはダイカンドラが育ち一面緑。RCのベンチでお昼をたべたり、家族専用の外部空間。

角の塔

板橋区にある木造3階建ての店舗併用住宅である。敷地は活気ある商店が並ぶ旧中山道と直行する王子新道沿いにあり、通りには昔ながらの住居付き店舗(飲食店や美容室、漬物屋)が残りながら多くは専用住宅に建ち変わっている。施主は50代のご夫婦で、慣れ親しんだ地元のこの場所で定年後に飲食店を開く計画をされている。店舗上部の住居部分はお子さんと放し飼いのオカメインコが同居する。

構造は各フロアの平面と空間を最大限有効に利用できるように内部に耐力壁を出さずに外部周りに筋交を利用した耐力壁を設け、一部開口に掛かる筋交は現しにし、燃え代設計により柱梁を現しにしている。内部には1階から塔屋まで2本の現しの柱が出てくるが、各フロアの空間とバランスをとるように150角→125角→105角と柱寸法を上階になるにつれ細くしている。

住居部分は2階南東角の隅切りを反転するように3階南西角を隅切りしたことで2階から3階の内部導線に直角の入隅がなくなり、なめらかに上階に上がっていく感覚が得られる。2階と3階をつなぐ吹き抜け空間は放し飼いのオカメインコにとっては縦に移動できる空間でフラットな天井のマンションから引っ越した後はリラックスして過ごしているとのことである。

二股道路の分岐点という立地を生かした外観とするため、店舗の目印である庇を隅切り部に回し、角に向かって段々と高さを出している。隅切り部に植栽が置けるくらいの小さなテラスを設けたことで暮らしの一部が外観のアクセントとなり、住居と店舗が混在する地域で親しみやすさと存在感の両方を兼ねた構えとなった。

 

20210415_78A0360南側外観。1階店舗と2階、3階住居のデザインを統一して全体で店舗としての存在感を表している。

 

20210415_78A0387-Edit2階住居のLDK。ごろっと寝転んだり、ちゃぶ台を使用して床に座るため、リビングをキッチンから1段上げて小上がりのようなスペースとしている。

 

20210415_78A0422-Edit吹抜けのある2階リビングから北側方向を見返す。燃え代設計により柱梁を現しとし、天井の強化石膏ボードは素地の仕上げ、床と家具はラーチ合板に自然オイル塗装を行っている。

 

20210415_78A0852-Edit2階から3階の階段方向とキッチンを見る。3階の踊り場は南西角の植栽テラスに面し、ワークスペースとなっている。

 

20210415_78A0499-Edit3階踊り場から2階リビングと階段、3階主寝室を見る。2階リビングの上部が主寝室レベルより1m高い子供室。放し飼いのインコは2階と3階を自由に飛んでいる。

 

20210415_78A0632-Edit3階の主寝室から1m上がった高さにある子供室を見る。

 

20210415_78A07081階の店舗内部。150角の柱が空間づくりのきっかけとなる。

 

20210415_78A1165-Edit外部夕景。2方向に回る庇と隅きり部分に向かって段々と上がっていく外観が店舗としての構えとなっている。

上池袋の住宅

敷地は東京都豊島区の木造密集地域に位置し、災害の拡大を防止するため、東京都に指定された特定整備道路に面している。先々代から住み継いできた敷地は、特定整備道路の拡張工事の始点に位置し、敷地面積の半分が削られることとなった。(112.47㎡→57.37㎡)

俯瞰図

この都市計画によって半減された変形敷地に、母+息子夫婦+子供一人+猫4匹のための住まいを計画することになった。敷地が面する特定整備道路においては、防災上、延焼遮断帯を形成することを目的として、道路に面する建築物は耐火建築物とし、高さを7m以上にすることが条例で求められる。一般的にこのような幹線道路においては、耐火建築物の高層建築が壁面状に連なり、圧迫感のある都市景観を形づくり、道路を挟んだそれぞれの街区同士の関係性は断絶してしまう。

防火遮断帯

本計画では、上記条例の除外規定(7m未満の部分の面積が建築面積の1/2以下かつ100㎡以下のであれば当該部分は適用外となる)を有効に活用し、風や視線の抜けを確保し、スケールを調整して、変化のある町並みとすることを目指した。

まちなみ

 

都市の変形敷地で母、息子夫婦、子供、猫が共同生活をするにあたり、住居面積に因われない良好な暮らしの関係性づくりを行っている。80代の母は外に出やすく、近隣の友人と気軽に会えるように光庭を住宅地側につくり、玄関のアプローチと繋げた。東側に伸びる三角形の光庭は建物が建て込む中で住環境を整え、北側住宅地の隣地境界がつくる空地と繋がって風道をつくり、光庭に面したL型プランは3世代家族に程よい距離間と互いの見守りを可能にしている。子世帯は4匹の猫が家族同様に暮らせるように多頭飼いに必要なテリトリーを守る動線や人と距離感を測れる多様な居場所をつくっている。猫の床である24mmの針葉樹合板が人にとっての3層の床の間に入り込むことで、多層な床が空間の奥行きをつくりだし、人と猫の環世界が有機的に交わる住宅となった。

プラン

猫プラン

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RCのベンチが設けられたアプローチ空間。雨の日にも濡れずに出入りすることができます。

 

 

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1階玄関。コンクリートの螺旋階段が特徴的。家具や扉はラーチ合板。隣地側に設けた光庭からの採光で明るい玄関です。

 

 

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玄関奥からアプローチ空間を見る。

 

 

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1階母の部屋から階段スペースを見る。光庭に面した母の部屋はキッチン、トイレ、洗面器などが設けられています。道路側まで視線が抜けて拡がりを感じることができます。

 

 

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2階子供の部屋。子どもの部屋は一部が吹き抜けになっていて、天井高さに変化のある空間です。採光や通風にも効果的です。

 

 

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コンクリートの螺旋階段室。手摺に設けられた棚は猫の居場所。

 

 

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2階リビングには3階へ上がるためのコンクリートの片持ち階段があります。猫たちのお気に入りの場所になっているようです。

 

 

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2階リビングから子供の部屋方向を見る。2階も光庭方向に開口を取ることで、1日中明るい空間です。3階への吹き抜けもあり、様々な方向へ視線が抜け、立体的な拡がりを実現しています。

 

 

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キッチンからリビング方向を見る。

 

 

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3階ブリッジ。正面には屋上テラスがあります。屋上テラスは子供の部屋の吹抜け部分のヴォリュームに囲まれているため、安心感があります。手摺に設けられた棚、収納から飛び出した棚は猫のためのもの。

 

 

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夫婦の部屋からブリッジ方向を見る。収納家具を天井までとしないことで、天井がつながり、拡がりを確保できます。

 

 

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2階リビング。立体的な構成と開口部のとり方によって都市の小さい変形敷地において、拡がりのある明るい住まいを実現しています。人の居場所と猫の居場所を等価に計画した都市型住宅です。

 

 

I FLAT

「親族4世帯+家族の仕事場」のための多世帯住宅である。敷地は南・西側は道路に面し、東側には石神井川沿いの桜並木が続いており、周辺には4~5階建ての会社や集合住宅、3階建ての個人住宅が混在している。別々に暮らしていた4世帯が新たに一つの家で住むために、各世帯のプライバシーを確保しながらお互いの気配や生活感を感じられる家を目指した。4階建ての圧迫感をなくすため、各階を平屋と見立て「重ねられた平屋」とし、平屋をずらすことでテラスや軒、駐車場のスペースを生みだし、形に運動を与えている。階の構成は、1階にパブリック性の高い仕事場、2階に夜間の活動が多い若い世帯の住居、3階に家族の核となる親世帯住居、4階を叔父の住居とし、ホームエレベーターの設置によって、年代の高い世帯が上層階にくることを可能にした。通常の多世帯住宅との違いは、内部に階段がなく、来客も家族も使える外部導線の廊下や階段が各階のテラスとつながっていることである。内部はプライベート性が高いが、外部空間は家族や来客が交流する場になっている。地上に大きな庭が取れなかったが、3階の両親のテラスはいつでも家族や友人が集まることができる大きな家族の庭となっている。

 

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杉戸町の住宅

敷地は都心から車で約1時間半ほどの郊外であり、周囲には旧来の農家と畑が多く残りながら、急速な通勤圏の拡大により建てられた住宅やアパートなどが混在している。敷地は角地で北東側は交通量の多い道路であるが、西側は私道である。施主は30代のご夫婦と二人のお子さんで、2台分の駐車場と庭、庭と連続したリビング・ダイニングを希望された。まず、交通量の多い道路から1階の庭の環境を守るために、敷地の半分の建築ボリュームを道路側に寄せている。また、1階はキッチンや収納、階段を北東側に寄せて庭側に大きな開口を取り、2階は見晴らしのよい環境を取り込むため、家族の共有スペースに面して北東側に大きな開口を設けた。屋上に上がることもでき、さまざまな方角に開くことで敷地を超えた空間の広がりを得ようとしている。

 

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七光台の住宅

七光台の住宅は、最近開発されたニュータウンと昔ながらの雑木林や畑が広がる中に家屋が点在する田園地域の境界に位置する。ニュータウンに箱形の家が建ち並ぶのに対して、田園地域では下階を広く確保し、小さな二階を載せた下屋形式の家屋が多く見られる。本計画では、この新旧の風景を繋ぐ形として下屋形式を採用した。通常の下屋形式では、1階と2階屋根の棟方向が同じだが、建て主が1階で店舗を開くため、1階は線路方向に妻面を向け、2階はニュータウンの住宅の建ち方にあわせて南北方向を棟方向とした。1階の大きな屋根の下には縁側と土間を南北に配置し、米松集成材の登り梁を室内から屋外まで連続させ、2階の床梁とホームコネクターで接合させることで先端に柱の無い奥行き寸法2.275mの半外部空間を実現した。この屋根付きの奥が深い半外部空間は、夏の強い日射を遮るだけでなく、外部とプライベートな内部のバッファーゾーンとなっている。

 

 

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市川八幡の住宅

敷地は市の木「黒松」が所々に見られ、屋敷街の風情が残る閑静な住宅地にある。土地は平坦で、東側に道路、南・西側に住宅が接近しており、北側は駐車場であった。施主は30代のご夫婦で、それぞれの趣味を楽しむスペースやスキップフロアであること、家族の存在がどこにいても感じられるような家をご希望されていた。まず、採光や通風のための有効な空地を取るために、現在の周辺環境を丁寧に読み取り、南側一方向に空地をとらず、対角線方向に北東側を駐車場、南西側を庭とした。それら空地と合わせるように、矩形の平面を3つ重ねてずらし、スキップで上がっていく断面を計画した。どの部屋も空地に面しており、2方向以上の窓を持っているので、内部は明るく風通しがいい。周辺は2階建ての住宅が建ち並んでいるが、この住宅の最上部は少しだけ周辺の住宅より高い位置にあるため、テラスから見る景色が遠くまで開かれている。

 

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東京スマートハウスデザイニング

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都内の密集した住宅地に建つ、木造3階建ての戸建住宅。典型的な縦長の敷地で快適な住環境を実現するために、施主の要望に合わせた4つのヴォリュームをずらしながら配置することにした。そのことによって生まれた外部空間は、光や風を十分に室内に届け、周辺の庭や緑地と一体となって豊かな風景をつくりだしている。内部は平面的、断面的に一体的な空間構成とし、取込んだ風や光、風景を家のどこにいても感じられる様に計画した。設備的には、1階土間の蓄熱式床冷暖房、上下階の温度差を解消する循環ファン、電動トップライトを利用した重力換気などを利用し、出来だけ、省エネで快適になる様に工夫されている。

 

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Photo:新建築社

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Photo:川辺明伸

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Photo:川辺明伸

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Photo:川辺明伸

板橋の住宅

敷地は、築年数の古い木造2階建てが多く残っている中に店舗やマンションが混在している地域にある。70代の施主ご夫婦は築50年の木造家屋にお住まいで、古くなった設備の刷新、冬の寒さ対策、押入収納のみの収納量不足の解消、日当たりのよい園芸スペースなどを必要とされており、お子さんに引き継ぐことをふまえた新築の計画を進めることになった。ただ、これまでの暮らしを大きく変えないことを希望されていたため、断面計画の工夫で問題の解決を試みた。まず、住宅密集地域のために暗くなりがちな1階は部分的に天井高さを高くし、高窓を設けて採光を確保した。園芸スペースの確保は、1階の天井高さの違いによってできた段々状の屋根をルーフテラスにして1階庭から2階までテラスをつなぎながら使えるようにした。収納は部屋ごとの高さ違いを使い、ロフトや屋根裏スペースを多く設けている。平面的な暮らし方は変えずに、断面に変化を加えることで、今までの生活にプラスαの快適さと豊かさをもたらしたのではないかと思う。

 

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3階建ての家

敷地は個人店舗が並ぶ商店街の通りから一歩入った閑静な住宅地にある。敷地形状は間口が約4.5m、奥行きが12.5mと南北に細長く、隣家とほとんど距離を確保できない典型的な都心の敷地であり、施主からは充分な採光や風通しを確保することが望まれた。まず、法規的な建築面積と容積を最大に確保したボリュームの中心に垂直方向をつなぐ階段を配置し、階段を挟んで構造壁を2枚配置することで、各諸室がゆるやかに分節されながら、ワンルームのようにつながる家となった。採光や通風確保のために、各部屋に合わせて窓の大きさや配置する位置や高さを工夫することで、一日中自然光が入り、部屋全体を風が抜けていく明るく気持ちのよい家となった。

 

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