敷地は駅から比較的近く、大型スーパーや物販店が並ぶ大通りから一本脇に入り、米屋やクリーニング店などの個人店舗と住宅や賃貸アパートなどが混在する道に面している。もともと施主は、この敷地から近い場所でレストランの経営をされていた。この場所に店を引越すにあたり、店舗の2階部分は店を引き継いだお弟子さんご夫婦とお子さんの家族が住む計画となった。周辺に個人住宅が多いことから、外観は周辺から浮かないことと店舗としての存在感を持つことが重要なポイントとなった。店舗の形態の特徴としては、看板テントからヒントを得て、その形態を1階部分の庇として使い、庇の裏に貼った鏡面部分に外部の人の動きが映ったり内部の様子が外部にもれるようにした。夜間は、この庇から内部の光がもれて行燈のような役目となる。外観の色は周辺の景色と調和しつつ、店舗前の植栽が引き立つ色を検討し、深みのあるレンガ色に近い赤を選んだ。2階の賃貸部分は、梁構造をそのまま現し、リビングはそのレベルより750mm上がった寝室の天井とひとつながりで、屋根の形態がそのまま内部に現れている。
建築概要
所在地:東京都北区
用途:店舗(レストラン)+賃貸
構造/規模:木造/地上2階
敷地面積:73.72㎡
建築面積:44.19㎡
延床面積:87.72㎡
竣工年月:2016.03
構造設計:吉田一成構造設計室
写真:川辺明伸
掲載:日経アーキテクチュア(電子版)